「ご馳走様でした」


香月さんが二人分のお会計を
済ませている間にお礼を言い
玄関に行こうとすると
グイッと腕を捕まれた。


「美優ちゃん、時間大丈夫なら
もう一軒付き合って」


「えっ?」


なんとなく帰りたくなかった私は
誘われるまま着いて行くと
お洒落なBARの前にいた。


やっぱ俳優さんは
お洒落な店知ってるな。


(彼女とかと一緒に来るのかな)
なんて考えていると…


「おっ珍しいな」


カウンターの中から
声をかけられて香月さんは
黙って手を挙げて
奥のテーブルに座った。


「美優ちゃん、こっち」