それは1月3日、クリスマスから9日後の事だった。

あの日から雫はずっと歌っていた。そう、息を引き取るその瞬間まで契れそうな声で何度も、何度も。

「…残念ですが」

機械の音だけが静まり返った病室に鳴り響く。まるで長い夢を見ているみたいだった。

やせ細ったきみの薬指から、指輪が落ちた瞬間急に涙が溢れてきた。

「…もう名前も呼んで、くれない?…ごめんな。守る、って言ったのに…!!」

また大切な人を守れなかった。最期の最期まで君を痛みに突き落としていた。

俺の方こそ生きる価値の無い…人間。

雫の親友と家族の泣き叫ぶ声が冷たい空気の霊安室に鳴り響いても、それ以上涙は、堕ちなかった。

夢の続きの様な、そんな世界。