「異常なし…と」

見回りに来た先生がカルテに次々と書きこんでゆく。隣を見ると、葵はダルそうにノートを見ていた。

「宿題?」

とあたしが聞くと頷きながら重たそうにシャーペンを動かす。意外と簡単な問題だった。

「貸して」

無理矢理シャーペンを奪い取り、次々と問題を解いてゆく。…中2のあたしにも解けるくらい簡単な問題。

もしかして葵って…馬鹿?ため息を着きながら、5分後にはその宿題は終わってしまった。

「お前…天才?」

それでまたビックリした顔でノートを見るから驚いてしまう。

「葵が馬鹿なだけ」

冷たく突き放すとあたしもノートを開いて無茶苦茶に歌詞を書き殴り、葵に"はい"と言って渡した。