ピッピッピッ…―

「うそ、つき」

消えそうな声で何度も繰り返し君を呼ぶ。昨日の出来事がまるで嘘みたい。

初めて知った。大切な人が笑ってくれないことがどんなに痛いか。あたしはたくさんの人を傷つけてたんだ…。


幸いにも、葵は二日後には意識を取り戻した。目覚めてまた無邪気な笑顔を見せる葵の隣に居ることが幸せだって思う。

「何か、夢ん中でめっちゃ怖い出来事起こってた。…夢で良かったよ」

そう言う顔すら何処か無理してる様で。あたしはただただ心が痛かった。