「俺さー、あんときまだ、結構引き摺っ
てたんだよね、縁の事。自分でも気付か
なかったけど」
「……うん」
それは、わかる。だって見たこともない
くらい、辻宮苦しそうで……弱々しくて
。
守ってあげたい、救いたいって、思った
から……。
「なんか恋愛恐怖症みたいなのあって。
またお前が縁みたいに消えていくのかも
しれないと思ったら、すげー怖くて」
「辻宮……」
「ほらお前って、俺に全然執着しないし
媚びないじゃん?だから、余計に」
まあ媚びられてたらそもそも好きになっ
てないんだけど、と辻宮は笑い。
どんな反応をしたらいいのかわからない
私は、紅茶に口を付けた。
「……あの時、嬉しかった……。美里が
泣いてくれて、抱き締めてくれて……俺
、ああ、もうこいつしかいねーなって、
思ったんだよ」
ふと、テーブルに置いていた手のひらを
、辻宮にそっと握られた。