そんなドレスを汚しでもして、それこそ
弁償なんて迫られたら……。



サアッと血の気が引いていくのを感じて
、私は抵抗を止めた。……それが辻宮の
狙いで、このドレスが消えたところで、
辻宮には痛くも痒くもないと知らずに。



勿論、連れていかれた先は、その威圧感
たっぷりのドアの向こう側。



中もまた……凄かった。



黒と白で統一された、モノクロの世界。
そして無駄に広いのに、すごく家具が少
なくてちょっとアンバランスだった。



私はそのまま、お姫様抱っこを受けなが
らベッドに座らされた。



「……。」


「……。」



え、無言?


そっちがここに連れ込んだくせに、無言
かよ!とはいえず、チラリと辻宮の顔を
窺うと───……。



なんと辻宮がこっちを見ていたからビッ
クリ。思わず、ビクッと身体が大げさに
跳ねてしまった。