目の前にしただけで、ごくりと生唾を飲
み込んでしまうほどの威圧感だ。
「では、私はこれで」
「あ、はい───って、ええぇ!?ちょ
、ま、待ってくださいよ!」
何事もないように微笑んで去っていこう
としたメイドさんを慌ててひき止める。
メイドさんは、困ったように首を傾げた
。
「どうされましたか?具合がよろしくな
いならば、救護の者をお呼び致しますが
」
「や、そ、そうじゃなくて……。あの、
一緒に来てくれないんですか?」
そう言うと、もっと困ったように眉を八
の字にしたメイドさん。
「申し訳ありません、お嬢様。いくらお
嬢様といえども、そのお願いは聞き入れ
られません」
「……そう、ですか…」
「はい。辻宮様に許可を頂かない限り、
勝手に私室に立ち入ることは、謂わば、
反逆行為等しい事ですので……」
……うーん…。何を言ってるのかはよく
わからないけど、とりあえず無理って事
か。