「本当に素敵です、お嬢様」
「へ!?……あ、ありがとうございます
……」
敬語も、お嬢様って呼ばれるのも慣れな
い……ていうかむず痒い。
慣れない華美な服装と化粧にそわそわし
ていると、この部屋まで案内してくれた
メイドさんが、にっこりと微笑んだ。
「辻宮様がお待ちですので、こちらへ」
「……あ、はい」
部屋を出てみると、やっぱり改めてこの
家の広さを疑う。
しかも家中ふわふわの絨毯がひいてある
し。それに真っ赤だからすごく高級感溢
れてる。
廊下はどこまでも続くし、ドアはいっぱ
いあるし……。
むしろこの家を知らなかったことがびっ
くりだったよ……。
「こちらです」
案内されたのは、一際大きく、存在感を
放つチョコレート色のドア。