――――――――6年前



俺たちは何も知らないでいい年頃だった。




何も知らないでただ、お互いが幸せでいられると思っていた。





だけど ちぃからいきなり言われたのは




「……てんきん…するんだって。こーたちゃんと会えなくなっちゃうんだって…」




俯いて今にも泣きそうな顔をしたちぃを俺はいまだに忘れられない。




生まれた時からずっと一緒だった。




それは 俺たちの母親同士が同級生でかつ親友だったから。





それでいて俺たちも仲が良かった。




『おっきくなっても、ぼくといっしょにいてくれる?』




『こーたちゃんが強くなるって約束してくれたら!』




『えぇ~…ぼくが強くなるの?』




『ちこも可愛くなってこーたちゃんの隣にいるから』




『…うんっ』




こんな幼い会話を今もはっきりと覚えている。




それから間もなくちぃは 幼い‘僕’の前から消えてしまった。




忘れられなかったし、忘れたくなかった。