「ククッ…おもしろいやつ…」
そこまで言うと 女も我に返ったのか俺をみて、ぷくっと膨れた。
…反則だろ。その顔。
「あんた俺のこと知ってる?」
「えっと…」
「俺 早川 宏太。スリッパの色的に同学年だと思うけど」
俺らの学校はスリッパの色で学年の判別をする。
ちなみに俺ら1年は青。
目の前のこいつも同じ色を履いていた。
「ちょ、ちょっと待って」
「あ?」
気づくと女はあわてていた。頭を抱えて、顔色を変えて、さっきの動揺とは別の焦りが見える。
……な、なんだ?
なんか変なこと言ったか、俺。
いや、言ってないはず。名前しか言ってないし。
「名前、もう一回言ってもらっていい…?」
「はぁ?」