ふで「まあ男に媚びる元気が、あるとはねぇ元は芸妓といえ」
「…」


沙彩はなにを言っていいかわからず、ふでと一緒に夕餉の仕度にとりかかっていた。

ふで「いつからだい?」
「え?…えーと」
ふで「まあいいさ。あの人じゃないなら」
「?旦那さんのことですか?」
ふで「そうさね。他の女をとっかえ、ひっかえしてるが、自分は用済みだとわかっているんだがね、けど、ずっと、寄り添ってきた人だからね」
「…」
ふで「知ってるだろ?考えてても仕方のないことさ。今いる芸妓だって京都からきてるのさ」
「いま、いる…んですか?」
ふで「最近出入りしてるコさ。裏口から入ってるのを見てね。もうさすがに呆れ果ててるさ」
「そ、そうなんですね…」
ふで「どうなることか…ほらに煮えてるよ!」
「あ!はい!!」

「…」


(ふでさん知ってたんだ……)