左之助「ほう、見てみたいもんだな、今度俺のために見せてくれるか?」
「はい!踊りだけでよければ」
左之助「約束な?じゃあ部屋に入れ。寒くなってきたからな」
「はい、おやすみなさい」
左之助「おやすみ」
沙彩は笑顔で自分の部屋のふすまを閉めた。
朝餉のしたく、今日の当番は平助と、永倉だった。
「(みんな…いない)」
あの二人はいつも、起きるのが遅いけど、30分以上の遅刻はなかった。沙彩は部屋を見にいこうと廊下に出ると、ふでとでくわした。
ふで「どこにいくんだい?」
「あ、永倉さんと平助くんが、まだ起きてないみたいで、様子を見にいこうと」
ふで「その必要はないさね、門弟の子たちは朝早くから山南くんについて、出稽古にでてるよ。ったくあたしだって忙しいってのに朝早くから起こされて散々だよ」
ふではツンツンしながら台所へ入って朝餉の支度にとりかかる。
ふで「あの人を起こしてきてくれるかい?昨日から酒臭くて。あたしも参りそうだよ」
「…わかりました」
濡れた手を拭いて周助の部屋へ足を向けた。