沙耶さんは獅子さんの掴んでいた腕をきゅっと掴み直し私をチラリ見つめた。 どうして獅子さんは、うんとかすんとか言わないの? もしかして獅子さんは、沙耶さんの言っている通り《気に入ってるから》なの? 「悪い沙耶、離れてくれ、虎、話があるんだ、ちょっといいか?」 獅子さんは、沙耶さんの腕を離すと椅子から立ち上がり虎次郎さんと2人で奥の部屋へと入っていった。