原が抱きしめているせいで目の前が見えない。
どこを歩いているのかわからなくて怖い。
原は無言で歩く。
しかも原は普通に歩いてるけど、そのせいであたしは後ろ歩きになっている。
足がつっかえそう・・・。
こんなことを思っていたらドアが開く音がして風が吹いた。
その瞬間原があたしを離した。
ここは・・・屋上だ。
「原・・・あの、あ、あ、あありがと・・・。」
抱きしめられていたことを思い出して照れてうまくお礼がいえなかった。
「・・・書いてきた?」
「・・・はい?」
「昨日いってたやつ。」
″理想″のことかな。
「う・・・ん・・。」
はい、といってスカートのポケットから紙を出した。
無言で受け取り紙を広げる原。
・・・すんごい恥ずかしい。
しばらくして口を開く原。
「お前・・・ふざけてんだろ・・・。」
「え?」