「やっぱお前はめんどくせぇ。」

ため息混じりに言う原に、あたしは言い返してやりたかったけどそんな気力ない。



__ギュッ

「っ!?」

ふいにあたしを包み込むぬくもり。

「さっさと泣き止め。暗くて弱ってるお前はらしくねぇ。泣いても可愛くねんだな。」


・・・一言多いんだよ馬鹿やろう・・・。

あたしはこんなとき誰かに抱きしめてもらわないと震えも止まらないし泣き止まない。

いつもは啓太が抱きしめてくれた。

きょうは原のおかげで泣き止んできた。

震えはさっきよりは止まった。

「けっ・・啓太はそんっなごとゆわな゛っいのに。」

「あ?誰だそれ。彼氏と俺を比べんな。」

フッと笑いながら言うこいつ。

「・・・彼氏?勘弁しっ・・てよ。グスッ・・・啓太はお兄ちゃんだよ゛・・」

そう。啓太、安藤 啓太 (あんどう けいた)はあたしの兄。

「だよな。お前みたいなやつ彼女にするなんてそんな物好きなやついねぇよな。」

「・・・こんな体制で言っても説得力ないし。」

泣き止んで鼻声で話すあたし。

「お前、血液恐怖症だろ。」

その言葉に体がビクッと反応する。

「・・・・・・。」

またガタガタと震えだした体。

「・・・わりぃ。なんか思い出させちったか?もうなにもいわなくていい。悪かった。」

さっきよりもっと強い力で抱きしめてくれた原にドキッとしてしまう。

そのおかげで震えは止まった。