チャイムが鳴ってからあたしは教室に戻ると、麻理香はあたしの知らない女の子となにか話していた。

「ええぇぇっ!?チューしたぁっ!?」

「ちょっ・・・シーーーっ!!!」

麻耶が大声で言ったことに対しもう一人の女の子が慌てて麻理香の口をふさいでいる。

・・・恋バナってやつですかぁ。

あたしは麻耶のところへ行こうとしていた足を止め、Uターンして自分の席についた。

「はぁー・・・」

とため息をつくなり、ある視線に気づきあたしはびっくりして固まってしまった。

隣ではあの原 大輝が席についてこちらを見ている。

それも嫌そうな不機嫌そうな顔で。

あたしはしばらく固まり、頭の中で整理してから冷静に対応した。

「・・・なっなんで原がここにいるの?」

「お前さぁ。人の前でよくそんなため息つけるな。」

ちょっと引き気味に言う原。

「べっ別にあんたには関係な「なにがあった。」

あたしの言葉をさえぎって真顔で話す原に不覚にもドキッっとしてしまう。

「だからあんたには関係ないってば!!」

机をバンッと音がなるほど強くたたいて勢いよく立ち上がったあたしをガン見するクラスメイト。あたしは恥ずかしくて無言でまた席に座った。

そんななか顔色一つ変えずにあたしを見る原。

またクラスの子がそれぞれ自分のことをはじめてうるさくなる教室。

「お前さぁ。女ならもっと女らしく素直で可愛くいろよ。やっぱお前ウザイ。」

そう言うなりあたしとは逆のほうに顔を向けなおす原。



だって・・・あたしだって好きで女に生まれたわけじゃない。

麻耶みたいに女らしくもなれない。可愛くもない。

でもそんなの原に言われたくない。

「・・・・うるさい・・。だったらあんただって男らしく優しい言葉かけてくれたりしろよ・・・。」

隣で机に伏せて寝ているであろう原にあたしは小さく反抗し、あたしも机に伏せた。