先生は棚を元に戻した



落書きは見えなくなる



先生は体育倉庫の扉を開けた



「斉藤、どうした?」



私は体育倉庫を後にした



先生の後ろを歩いていると先生がすごく遠く感じる



こんなに近くにいる、手が届くくらい近くにいるのに遠い



何で私の好きになった人は先生なんだろうって毎回思う



同級生を好きになりたかったよ



こんな恋、結ばれても結ばれなくても悲しい



「先生」



「ん?」



「幸!?」



そこにはお兄ちゃんがいた



「お兄ちゃん?」



「斉藤の兄?」



先生は私に聞いた



「はい」