涙は先生にフラれた時まで流さない



絶対に流さないから



今決めたから



一回、涙を流してしまったら止まらなくなりそうだから



「あら、早かったじゃない」



お母さんはケーキを冷蔵庫から出しながら言った


「ただいま」



私は自分の部屋に入った



「はあ・・・」


ため息をつきながらベッドに座った



目をつむるとあの手、指先、透き通るような目、全部思い出す



あの姿に恋をした



格好良くて・・・格好良くて



もう一度見つめ合いたい



もう一度・・・



「もうっ何してるの!制服着替えて早く手伝って」



「はーい」



お母さんは部屋のドアを開けてそう言うとすぐ閉めた


私はジャケットのボタンを一つずつ外した