「千葉。来てたんだ。」

手続きを済まして軽装でやってきたたかちゃんは

いつもと変わらない。

ほんとに行ってしまうのかしら。


「来るわよ。大事な恋人の見送りだもん。」


「大事な?

 泣きながら別れるとかそういう雰囲気ではなさそうだけどな。」


「大事に思ってるよ?

 だけど、一年って決まってるし、

 お互い頑張ること見えてるし、

 きっと一年なんてあっという間だもん。


 たかちゃんこそ、

 さみしいんでしょ?」



「そりゃ、当たり前だと思うけど、

 千葉がそうでもなさそうなのが結構くやしいんだけど?」


「愛されてる自信かなあ?」


たかちゃんには分かんないだろうな、

ホントは泣きたいくらい気持ちは辛いけど、

今度こそ、一人でちゃんとやろうって、心に決めたんだ。


感情に流されて、目標を見失ってた。


だから今度こそ帰った時に、

自分を誇れるようなあたしになりたいって、

さみしいけど、どんなふうに化けてやろうかなって、

ワクワクもしてるんだ。


「はぁ、もう。なんでこんな強くなっちゃってんの?」


「能勢!」


「わ、羽鳥なんでくるの?」


「ま、例によって宣戦布告?


 お前、今度こそ覚悟しとけよな。」



「はは、懲りないね。うん、頼んだ千葉のこと。」



「その余裕、知らねえよ、帰ったとき後悔するなよ!」



「信じるしかねえし、千葉もお前のことも。」



「信じるなよバカ野郎。」


羽鳥くんは、相変わらず頼りになるおとなりさん。


けど、最近彼女が出来たらしいの。


でも、たかちゃんには内緒。


ちょっと心配させときたいから。


ふふ、

私ってば悪女でしょ。