私もう、驚いて驚いて、慌ててベッドで眠る彼の元へと行ったの

彼なんて、何処にもいなかった

その代わり、テーブルの上に沢山のビールの缶と食べたまんまのカップ麺の容器と就職情報誌が置いてあった





そうだ

私、派遣切りされて

彼に浮気されて振られて

財布落として、やっとの事で家中のお金かき集めて

ビールとカップ麺と就職情報誌買ったんだ…

それで飲めないのにやけ酒とかするから…

あーあ

そんな訳ないじゃん

何が福毛よ

全部、夢じゃない

バッカみたい…





取り敢えず、テーブルの上を片付けると

私は買ってきた就職情報誌を手に取り、ページをめくり始めたの





この時、私は左手の中指に福毛が生えている事にまだ気づいていなかったんだ









『福毛』


fin