「…ありがとう」

「俺、何もしてねぇけど」

「あたしの所為で怪我までさせちゃってごめん。停学にまでなってしまってごめん。そして、助けてくれてありがとう」

「傷つけた俺の所為。悪かった。…だからちょっと美鈴も事、避けてたかも知んねぇな。俺の所為で色々言われちまうから」


表情を崩す颯は悲しそうに笑った。


「もう…避けないでよ」

「避けねぇよ」

「ねぇ、颯?」

「うん?」

「もう一回、メガネ掛けてよ」

「はぁ?」

「もう一回、見てみたい」


そう言って、ニコっと微笑んだ。


「お前、それ今言うか?お前こそモードブチ壊しだろうが。俺は今からお前を抱きしめてキスでもしとこうかと思ってんのによっ!」

「それはいいよ」

「何だ、お前!俺を拒否んのお前くらいしかいねぇよ。いろいろ面倒くせぇ奴」

「また何?偉そうに。何様だよ!あんたはどんだけ偉いのよ!!」

「でも、まぁあれだな。面倒くせぇけど、お前なら許す」

「ほんっと、偉そう。あたし颯より年上だよ?」

「一個しか変わんねぇじゃん?」

「そう…だけど」

「幸せにするとか、そんなの出来るかわかんねぇけど。でも…なんかあったら助けてやる。それだけは自信あったから」


笑みに満ちた顔で颯はあたしの頭をクシャっと撫でる。


“助けてやる”


多分、ずっと前から言われた時から始まってて、


“俺にしとけば?”


そう言われた時からスタートしてた。


出会いはちょっと変わってるけど、


これがあたしの



愛の形だったかも知れない。



【end】