「分った。分ったから来い」
その言葉に思わず笑みが零れる。
一緒に行く事に喜んではない。
ただケーキが食べられるって事のそんな単純な喜び。
“やった”って心の中で喜ぶものの、見つめる颯の顔はまさしく“マジかよ”って感じの表情。
その表情で、“やった!勝った!”って、勝ち誇ってるあたしは多分、小学生以下。
―――…
とりあえずの為に聞いていたメアドも即効役にたってしまった。
“体育館裏にして”
そうあたしが颯にメールしたのは放課後になる直前。屋上で昇降口にいるって言われたのを思い出しあたしはすぐさま颯に変更のメールをした。
「ごめんっ、」
放課後になってすぐに行こうと思った。
だけど、千佳のガンガントークで思わず足が止まり、体育館裏についたのはそれから15分くらい後。
駆け足で来た所為か少し息をきらしたあたしは、退屈そうに壁に背をつけてタバコを咥える颯の存在を目にした。
そしてあたしを見た瞬間、眉がグッと寄る。
「お前さ、自分から場所変更して来んの遅ぇーんだよ」
そう呆れたようにそう言った颯は咥えていたタバコを地面に磨り潰す。
「だからゴメンって言ってんでしょ!」
「つか、俺を待たせんのなんかお前が初めてだぞ」
「はぁ!?アンタどんだけ偉そうなのよ」
顔を顰めて言うあたしに颯はフッと小さく笑う。
だからその優しそうな笑みで思ってしまった。
この男、本当に噂通りの男なんだろうか。