「あー…そうだ、聞いてい?」
チラっと視線を向けると、颯は両膝を曲げて立てていた足を崩し、胡坐を掻いた。
「何?」
「この前の女ってアンタの女だったの?」
「違う。俺、女嫌いだかんな」
「あぁ、そう。あたし一応女ですけども」
「ちげぇよ。面倒な女っつー事」
「あ、そっちか。つかさ、誰か見つけりゃいいじゃん」
「イイ女いねぇし、俺付き合った事ねぇもん」
「えっ!!マジっ!?」
思わず発した大きな声に颯は眉を寄せる。
うるせぇって感じであたしを見る目が何だか迫力あり過ぎて、ちょっと身を引いてしまった。
「マジ」
「あんたモテてんでしょ?」
「だから?」
「だからって…」
「あー…そうだ、誤解すんなよ。俺、童貞じゃねぇからな。それだけは経験豊富だから」
クッと口角を上げて微笑んだこの男に呆れそうになる。
「つか、そんな情報いらないから」
「どう見てもさっきの反応はそれに等しかったぞ」
「…んな訳ないでしょ!」
ある訳ないじゃん。
どー見ても遊んでますって顔しやがって。