「え?お前行かねぇの?」
不思議そうにあたしを見つめる颯。
「うん」
コクンと頷いたあたしは壁に背をつけた。
「何で?」
「何でって言うか、なんか最近やる気が出ないって言うか…」
「あー…あれか。男に振られて元気でねぇってやつじゃねぇの?」
「さぁ…」
「そんなにイイ男だったのかよ」
「多分ね」
もう今じゃイイ男なんて分んない。
付き合ってた時はそう思ってた。
でも、別れを告げられた内容を考えるとイイ男なんかじゃない。
忘れ…なきゃ。
「お前さ、マジなの?」
「え?」
「ほら、あれ。年上としか付き合った事ねぇの?その挙句、絶対自分から振るっつーの」
「何よそれ」
「だってそー言ってんだろうが、周りが」
「怖いね、噂って。たまたま付き合ったのが年上だけ。自分から振るっつーのは違う。振られたもん…」
「あー…そっか」
そう納得した颯は小さくフッと笑みを零した。