「ねぇ!聞いてんの、美鈴!!」

「うん、聞いてるよ」

「だからやめなってば!!黒沢の事知ってんの?不良グループの集団人物のトップ。窃盗、暴行、恐喝。しかもあの男、人刺したって言うじゃん!!」

「あ、いや…それは違うと、思うよ?…多分」


なぜか否定してしまった。

なぜか颯を庇ってしまった。


千佳の勢いに圧倒されて思わず言ってしまった。


なのに。


「はぁ!?何、庇ってんの!?そー言う噂じゃん、あんたロクな事ないよ!あんな奴と付き合ってたら美鈴の人生終わりだよ!!」


ロクな事ないくらい分ってる。

あー…ほんと、いい噂なし。


アイツが言った通り、あたしの評判って言うか悪い噂ばっか。

だけど、人生終わりって…そこまで言う必要ないじゃん。


なんか訳分かんない変な感情が生まれてしまった。



「うん、けど…」

「けど!?けど何よ」

「いや、別に」

「とにかくさ、美鈴!さっさと切っちゃいなよ!」


そう勢いよく放った瞬間、ホットするかのようにチャイムが鳴り響いた。


助かった。


つい、そう思ってしまった。