それほど遠くない道のりだった。

原付が止まった場所は、駅周辺にある小奇麗な一軒のカフェ。


「何でここ?」


思うがままにそう言ったあたしは目の前のカフェを見上げる。


「ちょっと…」

「ちょっとって何?」

「いいから、いいから」

「は?意味わかんない」

「後で分るから」


よく分んない言葉を交わす男に何故か手を繋がれる。

もう、このままじゃいい返すのも面倒。

また、ため息を吐き捨てた時だった――…



「悪い、遅くなった」


男の声で思わず下げていた顔を上げる。

見えた先には椅子に退屈そうに座っている一人の女。


見るからに、…ギャル。

ケバイ化粧に、派手な髪。


今時、それはないでしょって思いたくなるほどのギャル。


他校の制服を着てるって事は同じく高校生。

そして気づけばあたしは女の目の前に腰を下ろしてた。と言うよりも座らされてた、のほうが近い。



「…その女が颯(はやて)の女?」

「は?」


つい、思わず言われた言葉にあたしの口からポロっと言葉が漏れる。

その漏れたと同時に隣に座っていた男はあたしの足を見えないように軽く蹴った。


…ちょ、何すんのよ!!