「バーカ。
逃がすか」


後ろから、にょきっと腕が伸びてきて……。


五十嵐くんの腕の中に捕われた。


「しろよ、キス。
俺の名前を呼びながら」


そんな……恥ずかしい命令をあたしに落とし、ほんの少しの笑みを浮かべる五十嵐くん。


「……っ」


そんなこと……。


今のあたしには、もう無理で。


「…………」