「……どうしたの?」
キョトンと首を斜めに傾けて。
振り向いた先、あたしが見たものは……。
「……五十嵐……くん……」
壁にもたれかかるようにして、あたし達を見つめる五十嵐くんの姿。
相変わらずカッコよくて、相変わらず堂々としていて。
一瞬で、目も心も奪われたけど……。
あたしは、がんばって瞳をそらした。
だって、五十嵐くんは……。
どんなに思っても、あたしの手には届かない人……なんだもん。
好きで好きで……。
今でも好きで……仕方がないけど。
あたしの手には……届かない人……なんだもん。
だったら……。
見ないようにして……。
この想いに……フタをするしか……方法ないよね?
むなしいとか、寂しいとか、考えずに……。
フタをした上から……他の男の子をドンと乗せるの。
それは、もちろん……。
五十嵐くんのこと……。
思い出す隙間もないほどに。
7月のはじめごろ。
杏ちゃんに……放課後、カラオケに誘われた。
杏ちゃんのおウチの車で行くっていうから、エントランスで待っていてくれる高柳さんに連絡をして……。
それからあたしは、杏ちゃんのおウチの車に乗った。
杏ちゃんとは……。
五十嵐くんのことで、あんなことがあったけど……。
あたしが五十嵐くんと別れて、かずくんと付き合ってから……。
急に、仲良くなった。
もちろん……“あんなことしてごめんね”って、前にも謝られたけど……。
今では、そんなことも気にならないくらいの仲良し。
繭ちゃんや花音ちゃん達のグループの中でも……杏ちゃんが一番仲がいいと思う。
あたしとは違って、流行に敏感なところも。
あたしと違って、ばっちりメイクをしているところも。
もちろん……あたしと違って、派手で目立つところも。
全部全部憧れで、全部全部がとても新鮮。
だから、かずくんと付き合い始めて以降は……杏ちゃんと遊びにいくことが多くなった。
カラオケにショッピングに、映画に、ごはん。
杏ちゃんは、あたしをいろいろなところに連れていってくれて、いつもたくさんの刺激をくれる。
大好きな大好きなお友達。
だから、今日もウキウキしながら、カラオケに向かったのだけど……。
なんだか今日は、様子が違った。
だって……。
部屋に入って、飲み物を注文したりしていると……。
「おー! 杏!!
久しぶり~♪」
制服を着崩した……めちゃくちゃ派手な男の子が数人、部屋の中に入ってきたから。
「……えっ?」
なんだろ……。
この人……達……。
もちろん……。
『おー! 杏!!
久しぶり~♪』
……って言ってたし。
今でも、仲よさそうに杏ちゃんとしゃべっているから……。
杏ちゃんのお友達……なんだと思う。
でも、どうして?
いつもは、ふたりで遊ぶのに。
それから……。
あたしが男の子を苦手なこと……杏ちゃんだって知ってるハズなのに。
それなのに、どうして……。
「ねぇ~心優。
いいでしょ~!?
今日は、雄二達、みんなで盛り上がろう~!!」
こんなことを……言ったりするの?
あたしだって、最近は……。
徐々に男の子に慣れてはきたけど。
それでも……。