「ですが、貴女を見ていてそれを行うのは気が引けまして…。だから、私は決めました」



「何を?」



「水面に映る月影を利用し、違う世で生きる家族や友人、大切な人との繋がりを途絶えさせることをないようにしようと」



影時は左手を胸に当て、右手を上に向かって伸ばしている。



幻覚かもしれないが、後光まで見えていた。



言っていることは凄いが、彼自身がやっている行動ははっきり言って馬鹿だ。



「という訳で、満月の夜、月影が映る水面に布で包んだ手紙を投げ入れれば、現代に届きます」



影時はそれだけを言い残し、足早に消えて行った。