「実はですね…、どちらかの時代を選べと言うのは嘘で――、ぶふっ!」



妃絽は土方から身体を離すと影時に近付いた。



そして、影時の顔面を踏み潰す。



「おい、コラ。お前、もっぺん言ってみろ。返答次第では顔を踏み潰す」



「いや、もう踏み潰してんだろ」



妃絽の言葉に土方は反射的にツッコミを入れる。



すると、影時が何かを言いたそうに腕を動かした。



妃絽はとりあえず足を退けた。



「いえ、嘘ではありませんね。本来、時を越えた場合どちらかの世を選ばせ、選ばれなかった世からその人物の存在記憶を抹消しなくてはなりません」



「じゃあ、私は――」