それから数ヶ月後。 傷跡は残ったものの化膿もせず、傷が完治した妃絽は夏樹と共に街に来ていた。 二人が幕末に来て、早数ヶ月が経つ。 そのせいか、土地勘もすっかり掴め、二人だけで出歩けるようになった。 今日は現代に戻る為の手掛かりを探す為に街に来ている。 「手掛かりないね…」 夏樹は頭の後ろで腕を組みながら溜息を吐いた。 そんな彼を横目に妃絽は顎に手を当て、考え事をしていた。 すると、前から編笠を被り、袈裟を身に纏う僧侶が歩いて来る。