― 十二月某日 「矢嶋くんー!」 「何ですか?」 バイト先の事務所の扉を、私は勢いよく開け、休憩中の男の子に飛び付いた。 「今日、まだ矢嶋くんと会話してないです!!私、矢嶋くんと出勤が被った日は、矢嶋くんと必ず一言会話してから帰るって決めてるんですから!!」 そう言うと、彼は微笑んだ。 「何ですか、それ。どんな決め事なんですか」