蓮のマンションで生活し始めて半年が過ぎた。

 遥の体はどんどん蝕んでいった。

 ちゃんとした治療もできてないし新しい生活やストレスから悪化していた。

(やっぱりちゃんと治療しないと悪化しちゃう)

 体を見るたびにそう感じた。

「遥、家に戻れよ。ずっと2人で生活したいけどちゃんと治療できないからここじゃあ、暮らせない」

《素直になれなかった》

「自分の体がどうなってるか1番わかってるだろ。戻りにくいなら俺が一緒に行ってやる」

「そんなこといい!」

 逃げようとする遥をつかんで無理やり車に乗せて家にむかった。


 家に着き嫌がる遥を連れてインターホンを押した。

《ピンポーン》

「はい。どなたですか?」

「遥さんをお連れしたんですが」

 驚いた声で返事があった。

「お嬢様を!今、門を開けます」

 蓮のつかんだ手を振り払おうとした。

「もうやだ!離して」

 蓮は何も言わず門が開くと家にむかって歩き出した。

 途中まで母親が走ってきた。

「本当にうちの娘がご迷惑をお掛けしました」

 蓮は荷物を遥に渡して遥の背中を押した。

「治療はしてたみたいなんですがかなりひどくなってるみたいで早くきちんとした治療をしてあげてください。それじゃあ、僕はこれで」

 軽く頭を下げ蓮は立ち去ろうとした。

「夕食はまだでしょう?一緒にどうですか?」

 無理に連れてこられて怒り気味だった遥は母親に叫んだ。

「蓮はご飯食べにきたわけじゃないんだよいっつも世間体ばっかり気にして。普通の家に生まれればよかった。」

 蓮は遥の方を見た。

「そんなふうに思うのはよくない。お母さんだってずっと心配してくれてたと思う。親がいて大切に育ててくれてるじゃん。俺は片親しかいなかった。もっと大人になろうな」

「蓮のバカァ!」

 遥は泣きながらその場を走り去った。


 部屋に戻りしばらくするとノックがあった。

「お嬢様、治療の準備はできてますので落ち着いたら浴室にどうぞ」

「ありがとう。いつもごめんなさい」

 しばらく部屋にいて浴室に行き治療をした。