正面玄関らしき前で降り立った私達。


パチンッと指を鳴らし、ホウキをしまった魔法使いの傍らで私はキョロキョロと辺りを見回す。


ほ、本当にお城だよ…なんて考えながら、目の前の城に目を移す。


「いつもなら、ダイレクトに城の中に降りるのですが、今日は死神さんがいるので、一応正面から入りますね」


そう言った後、魔法使いは歩き出す。私もその後を追う。





「お帰りなさい」


門番らしき兵が魔法使いに気付き、敬礼する。


「ただいま戻りました」


にこやかに兵に挨拶する魔法使いは、私に振り向き、隣へと引き寄せる。



「彼女は僕の客人ですので、中に入れてあげて下さい」


「はっ」と再び敬礼した後、兵はもう1人の兵と共に同時に両側の扉を開く。



「さぁっ」と誘導されながら、魔法使いと共に私も城の中へと足を踏み入れる。




「わぁー…」


なんて、子どもみたいな声を出してしまうくらいには、城の内装に感激する。

なんていうか、『お城!!』だわ。
赤い絨毯の敷かれた床は、まさに。という感じだ。





キョロキョロと城の中を見回してしまう私とは対象にツカツカと歩を進める魔法使い。もう見慣れてるといった感じだ。


「こっちです」と私を案内している中、度々すれ違う人、皆が魔法使いに向かってお辞儀をしていく。

その様子を見ながら、本当に彼は偉かったのか、と実感する。

彼を見かけ、頬を赤くしていくメイドも、また然り。