「おかしいですねぇ…」


と魔法使いはポツリと言葉を漏らす。


「何がよ?」

不思議に思った私は、訊ねる。



「いえ、魔王が死神リストに載るなんて、おかしいと思いまして…」


その言葉に私は、頭に?マークを浮かべる。


いくら人間より遥かに寿命の長い魔王だって、死期はくるだろうと思い、何がおかしいのかまったくわからなかった。



実は、私が担当している死者は、皆寿命を迎えた人達だ。中には元から寿命の短い人や、病人なども含まれているが。

不慮の事故や、自殺者、突然の死者の魂を狩るのは別の者が担当している。


「何がおかしいのよ」


「………………」



無視かよ!

私の言葉に反応せず、俯いて何かを考えている様子の魔法使い。


「もう、どうし…」


言葉を最後まで言い終わらない内に、突然立ち上がった魔法使いにパシッと手を掴まれた。


「え!??」


突然の行動に驚く。

グッと力を入れられ、無理矢理立たされた私は、魔法使いの側に引き寄せられる。



「な、何!?なんなの!?」


彼との近さに、顔が赤くなるのを感じた。
距離をとろうと離れようとしたが、今度は腰に手が回り、さらに近づくハメに。


「ほ、本当に何なのよ!?」


ジッと私を見つめる魔法使い。顔まで近くなり、更に私は赤くなる。

リーダ達が言っていたイケメンという言葉が今になり、わかった気がした。


「ちょっと、僕に付いて来て下さい」


「……は?」