獅蛇の居る場所まで行くと隣には襖が開いている部屋があり、中を覗くと障子や襖は破れていた
「誰か住んでたのかしら」
十六夜が呟いて十夜が見ると十六夜の視線の先には机や棚、引き出しがあり何となく開けてみると書物や筆も入っていた
「あれ、でもこの筆とか…最近…」
十六夜が筆を手に取って眺めると十夜が素早く寄ってきて顔を引きつられた
「い、十六夜様っ、それ、……そのふふふ筆、最近、つか、使われてる…」
「…やっぱり?」
「どれ」
十六夜と十夜が顔を見合わせて固まっていると獅蛇が近づいてきて筆を奪い取り頷いた
「ほー…十六夜も怖ぇのか」
「本当に居ると思わなかったから…」
「十六夜様っ…」
獅蛇は十六夜も怖がっていると分かりせせら笑って一人部屋を出ていった
「十六夜様っ…ど、どうしましょっ」
「落ち着いて、幽霊は怖がっているひとの前にこそ現れやすいの…できるだけ、頑張ろう」
「はぃ…」