「うわー…汚ぇ」



門をくぐってギっと音のする玄関を開けて入ると床はほこりだらけで歩く度にぎしぎしと音がなり、格子窓の木も折れている



ぎし



「うわーー!」



真下からぎしっと音がして十夜は前に居た十六夜に抱き着いて獅蛇に呆れられた



「大丈夫だから、ただ床が鳴っただけ」



十六夜が苦笑いで力を込めてがっちり抱き着いている腕をやんわりと解いた



「おーい、誰か居るか?」


「で、でかい声だすな!」



十夜が獅蛇に突っかかるが獅蛇は知らん顔していた。暗闇で見えない向こうに一人でずんずん歩いて行く



「あ、あいつっ、怖くねぇのか…?」


「…獅蛇には怖いものなんて無いのかしらね」




「おい、早く来いよ~」


獅蛇がどうやら先で待ってくれているらしく十六夜は歩き出し、十夜は十六夜の腕にしがみつきながら引きずられるように歩いて行く