そうか、と笑った桜李が本当に可愛くて可愛くて…こんなにいい子が息子だなんて、と思った十六夜は桜李を抱き締めた
「桜ちゃんは本当に優しいね、ありがとう……小さい頃と何一つ変わらない」
この齢で抱き締め返すのはさすがに照れくさく、恥ずかしいためそのまま抱き締められていた。十六夜が頭を撫でると笑って目を閉じた。十六夜、母親との時間はすごく落ち着く。それは小さい頃から母親が大好きで大好きで仕方ないからだろう
「私の方こそ………桜ちゃんは私とあのひととの間に授かった待ち望んだ子。ありがとう」
その言葉を聞いて桜李はすごく安心してぽかぽかした気分になった。しばらく頭を撫でてもらってうとうとし始めた時
「桜李、そこ譲れ!」
振り返るといつの間にか天堂が居て怒っていた。桜李はせっかくの時間を邪魔されたくなかったのに…と不機嫌になりながらも十六夜を抱えて本家へと帰った