桜李が十六夜を連れて向かったのは幼い頃遊んでいたコスモスの花畑。今はコスモスではなく小さい花や蒲公英が可愛らしく咲いていた
「懐かしいね…」
「まぁ、何百年も来てなかったからな…………お袋、毎日ありがとな」
「どうしたの?」
日頃、桜李は十六夜に何か贈ったりしているため十六夜は特に気にしなかったのだが今日は何かが違うと思って聞き返した
「何かな?琉威が言ったんだよ、人間には"母の日"っていう日があるらしいんだ。その日に母親に感謝の気持ちを伝えたり、何か贈ったりするんだと。でもお袋には何かしら贈ってるし一緒に出掛けてるし、何するかな?って悩んだら気持ちは伝えたことなかったから言おうってよ」
照れくさそうに頭を掻いた桜李に十六夜は微笑んだ
「ありがとね。でも母の日なんて無くても桜ちゃんは気持ちを伝えてくれてる。何か贈ってくれたり一緒に出掛けるだけで嬉しいから私にとっては変わらない…というよりは毎日が母の日」