まあ。練習見ててよって
千里先輩に言われたので
じっくりと荒川君を目で追った。


………追いてかれてますが。


部員全員で同じテンポで
走ってる中一人取り残されている


「ああ。誰か、荒川君が
おいていかれてる事に気付いて」


私もそう思う。
みんな、ちっとも荒川君に
目をやらないのだ。


すると、一人の先輩が
荒川君にかけよった



「おーい!荒川くん大丈夫か?」



ぶっ。笑いをこらえるのに必死
それは、きっと北澤も一緒


荒川君と荒川君に駆け寄った
先輩がそっくりなのだ。


体系というか顔というか
とにかくそっくり…………


「うくくっ。」

「ちょ、北澤笑わないでよ!
私だって堪えてるのに。」


「さすが、ひろし!優男!
走るの苦手な荒川君の事
いつもサポートしてるんだよ。」



千里先輩があまりにも
大きい声で言うからびっくりして
笑いが止まってしまった。



みんなが、おいていく中
一人荒川くんのペースに
合わせながらも背中を押して


確かに、笑いが止まった今
荒川君にそっくりな先輩が
キラキラして見えた。


「荒川君!がんばれ!
ファイト!あと三周!」


自分もきついのにな。
人のペースに合わせるって
結構きついんだよね。


みんなみんな、早く終わらしたいし
自分のペースは守りたい