「あの、成瀬君。ごめんなさい!」


だから私は、成瀬君に伝えたかった2つの事の1つ目を話し出す。


「私、別れることの辛さも知らなかったのに、屋上であんな偉そうな、まるで何もかも知ってるみたいなこと言っちゃって。」


1つ目は謝罪。

繋がる事の大切さを成瀬君に教えておきながらも、自分自身が、それと矛盾した行動を取ってしまった事への反省と、別れの辛さを知らずに、成瀬君に軽はずみな事を言ってしまった事への謝罪。


「何だ。そんなことかぁ。」


そんな事で謝る必要は無いと、何でもないことのように成瀬君は笑い飛ばす。


「いいよ、別に。綾瀬の言ってたことも絶対に間違いじゃないと思うし。それに電話かけてくれた友達も、会いに来てくれるってさ。遠いから冬休みくらいになるらしいけど。」


「それに、もし冬休みがダメになっても、来年の春休みに、それがダメなら夏休みに会えるように約束をすればいいんじゃないのか?そう教えてくれたのは綾瀬だろ?」


成瀬君はとっくに、辛い大切な友達との別れの先にある、新しい生活と新しい約束を見つめる事ができていた。


「うん。・・・そうだね。」


そんな真っ直ぐ前を見つめている成瀬君に、いつまでも申し訳ない顔を向けているわけにはいかないと思い、笑って言葉を返す。