室内へ戻ると、俊さんはベッドに座って煙草を吸っていた。俊さんも、来たときと何も変わらぬスーツ姿だ。 外で奥さん以外の女を抱いてきたなんて、誰も思わないだろう。 私が戻ったのを確認した彼は、スーツの内ポケットから茶封筒を取り出し、私に渡した。 「今まで、ありがとう」 封筒の中には薄い札束が入っていた。私は買われたのだ、この人に。