落ち着いた私は、シャワー室を出て体を丁寧に拭いていく。二人だけで過ごす時間を、惜しむかのように。
 衣服を全て身に付け、鏡を見る。来たときと同じ、いつもの私がそこに居た。

 悲しい。俊さんとの関係が終わったことが。もう、二人の時間はないのだという事実が。

 でも。何故か、どこかにほっとしている自分が居た。

「強がってても、辛いものだよ」

 いつか、誰かに言った言葉は、自分自身のことを指していたのかも知れない。