「バイト終わったら、いつものとこで待っててね」

 優しく微笑む俊さんの顔は、これから行われる汚い情事なんて微塵も感じ取らせない。
 私はいつものようにバイトを終えると、更衣室で私服に着替え、式場をあとにする。

 他人の幸せが生まれる場所で働く私が、人の幸せを壊しかねない行為を働いているなんて、誰が想像出来るだろうか。

 自虐的に小さく笑いながら、ホテル街の近く、通いなれた喫茶店に入る。