「柳さんって、しっかりしてて仕事も熱心だよね」 「そんなことないよ」 先ほどのバイト仲間が屈託のない笑顔で話し掛けてくる。 社交辞令で否定するが、当たり前のことだ。俊さんに近付きたくて、褒めてもらいたくて、頑張って仕事を覚えたのだから。 「頑張ってるな」 そう言って頭を撫でてくれる、彼の大きな手が好きだった。