「そんなに……怠い?」

昇ちゃんは黙ったまま、あたしを見つめている。

ダメだ。そう感じ始めたら、あたしにはもう、気怠そうにしか見えない。このうざったい涙も、止まらない。でも、気持ちは、もう、制御出来ない。ガクガクする足も、震える喉も、考える前に動く口も、あたしにはもう、止められない。


「あたし……昇ちゃんにとって、そんなにめんどくさい女? そんなに怠い?」

昇ちゃんは「あ?」と不機嫌そうな声を出した。

もう、そんな事を気にしている余裕すらない。あたしはいつも自分の事ばっかりで、自分に手一杯で……凄く、醜い。



「もういい! 昇ちゃんには、何言っても分かんないっ!」

ダメだ。こんな事、思ってもいないのに出てくる。口が止まらない。口の動きに連動するかのように、涙が滝みたいに流れていく。裂けそうな声しか、出て来ない。

「あたしが何て言っても、昇ちゃんは面倒臭いばっかじゃんっ! 何でも基準はそればっか……! あたしなんか、面倒臭い以外の何にもなんない! 少しでも、昇ちゃんの気を引きたかったし、好きになってほしかった。でももう無理じゃん……っ。
 あんな綺麗な彼女がいるなら、ちゃんと言ってよ。最初から、あたしなんか振ってくれれば良かった。あたしになんか……優しくしないでほしかった……っ!」