帰路を縮めて行くうちに、だんだん他校の生徒も見られるようになってきた。移っていく景色と擦れ違う他校の生徒に少し目をやりながらも、あたしはだるそうな昇ちゃんの歩幅に合わせる。

昇ちゃんといれば、あんなにうるさかった蝉の鳴き声なんて、気にも止まらない。一緒にいる時間が、あたしには嬉しくて仕方が無いから。


「ね、昇ちゃん」

「……ん?」

「帰り、パフェ食べに行こうよ」

あたしは気怠そうな昇ちゃんの顔を見つめた。昇ちゃんは黙ったまま、あたしの顔を見ている。


甘い物は別に嫌いじゃない……はず。

だけど、もう、如何にも「面倒臭い」といった顔をしている。


「ね、あたしが奢るから!」

「あー、だりぃ」


……言うと思った。

昇ちゃんは、いつだって「だりぃ」ばっかり。

でも、私はめげないのです。


「ね、ちょっとだけ!」

「めんどくせー」

「じゃあ、買うだけでいいからさ!」

「だりぃ、やだ」


日常茶飯事な会話。

1度だって、デートの誘いを承諾してくれた事はないんだけど。