どこかで犬の吠える声が聞こえてくる。あたしは、朦朧としていた意識を取り戻した。また、寝そうになっていた。
危ない。こんな所で寝たら、変質者に遭うかもしれないじゃない。

ぼんやりしながら目を擦ると、揺れる視界の中、歩いてくる影が見える。

遠くからでも分かる。

あのシルエット、昇ちゃんだ。


すっかりまた痺れてしまったお尻を持ち上げて、ふらふらと立ち上がった。

外灯の光で影が照らされ、薄暗く昇ちゃんの顔が見える。怠そうに歩きながらも、昇ちゃんはあたしを見つけて、ほんの少し驚いた顔をした。それから、また影になり、暗く頭を掻いた仕草が見えた。

あたし達の距離は、確実により近くになっていく。



……やっと会えた。