何人か、このアパートの住民がここを通る度に不審そうな目であたしを見ていく。出来れば、放っておいてほしい。

怖々ながらも、早く昇ちゃんに誤解を解いてほしくて、急いでここまで来たから、もちろん化粧なんてしていない。髪も酷くボサボサで、目も腫れている。正直、ブサイクだ。

それでも、あたしはここで昇ちゃんの帰りを待つしかない。待つしか、出来ない。ここから帰る時、たとえどんな結果になったとしても。


もう、軽く1時間半は待っていると思う。慌てて家を出たせいか、携帯を忘れて、はっきりとした時間が分からないのだけど。家を出た時は8時を過ぎていたから、多分今は10時前くらいかな。


そういえば、昇ちゃんがいつも何時にバイトが終わるのか、あたしは知らない。3か月も一緒にいて、好き嫌いも分かったつもりでいたけど、昇ちゃんの事何1つ分かっていない。解ってあげられていなかった。


一体、何を見てきたのだろう。


あたしは、どこまで間抜けなんだろう。


どこまで、馬鹿なんだろう。


こんなにも、昇ちゃんの事が好きなのに、不安定で、結局は自分の事しか考えてないんだ。