「大丈夫、ですから、邑理さんはあのこともっとお話をなさって下さい……わたしは、大丈夫ですから」

邑理のの腕の中で、姫佳はボソボソと告げる。

「あのこ?」

「貴方の愛する娘……」

邑理は首を傾けた。

「愛するのは姫佳さんだけですが?」

「嘘!わたし、知っているんです!貴方の話を……先日、聞いてしまいました」

姫佳は、先日、邑理が笑いながら電話をしているのを聞いた。

『姫佳さんは……あのこと、秘密に。ええ、本家の』

数秒、間が空く。

『愛していますよ、あの子を』

そう言っていた。

邑理は話を聞いて、瞬きをした。

「それは、姫佳さんを愛していると言いました。間違いないです。何なら、お義母さまに伺ってみて下さい」

姫佳は唸った。

「でも、嬉しいです。姫佳さん、妬きもちをやいて下さって。急に進めた話ですし……わたしを少しでも、好いてくれて」